台湾企業がテストマーケティングで視察
台湾の食品加工業の9社合わせて26人が10日から沖縄入りし、沖縄でのテストマーケティングを通じた日本全体への販路開拓を模索することになった。具体的な商品展開を視野に入れた取り組みでは、県産業振興公社が2月に覚書(MOU)を結んだ台湾デザインセンター(TDC)がパッケージデザインなどで支援することにしている。那覇市内で開かれる食品フェアにも参加。沖縄の塩と台湾のドライフルーツなど双方の特産品を組み合わせたコラボ商品を開発するワークショップも行う。
600万人観光がセールスポイント
台湾政府行政院農業委員会(農林水産省に相当)が、毎年実施している日本への視察先に沖縄を選んだもの。県台北事務所(吉永亮太所長)が県内での活動をアレンジした。
同事務所では、沖縄を訪れる年間600万人の観光客をセールスポイントにして、台湾企業が日本全体へ売り込みを図る前段階の調査地としての優位性を強調。日本本土で沖縄と台湾の双方に関心が集まっている点にも着目し、「台湾と沖縄と組み合わせたマーケットが、ぼんやりと意識されているようだ。そのイメージを形にして、新しい価値観を提示したい」としている。
県内企業に対しては、台湾企業と連携するきっかけを提供する機会と位置付け。実際にパートナーになれば、台湾企業が持つ中国大陸や東南アジアへの販路を活用できる可能性を見通す。
台湾商品は日本で調和するか
2017年2月のMOU締結に先行して台湾側との連携を強化しているデパート・リウボウは健康志向の商品を集めた「世界のからだにいいモノマーケット」を11日から開くことにしており、台湾からの一行は11日に会場を視察。一部企業は、マンゴーやパイン、グァバのドライフルーツ、そのまま食べられる乾燥シイタケなど台湾の農産加工品を出品する。
12日は、那覇市内の雑貨店でワークショップを行い、台湾のドライフルーツなどでポーク卵おにぎりに工夫を加える試みを体験。台湾から持ち込んだ商品をコンビニやセレクトショップに試行的に陳列し、日本で販売されている商品と調和するかなどについて検討することにしている。
13日は、海外展開の実績・関心を持つ県内の食品加工業者を視察する。
吉永所長は「沖縄と台湾は、距離は近いが、違いが大きいというコントラストがある。一方で、チャンプルーやミックスという点で共通点がある。沖縄と台湾を合わせることで“化学反応”が起き、いいものができればと思う」と話している。