台湾沖縄透かし彫り

沖縄を歩いていると、台湾のことを感じることがあります。とりわけ、石垣島などの八重山地方では、そのまんまの台湾に出会ってしまうこともあります。では、台湾へ行ったらどうでしょう。やはり、沖縄を感じることがあり、かつて石垣島から移り住んでいった人たちと足跡を見付けることもあります。だけどそれは、薄皮を一枚剥いだようなところに隠れていることがほとんどなのです。

 沖縄を歩いていると、台湾のことを感じることがあります。とりわけ、石垣島などの八重山地方では、そのまんまの台湾に出会ってしまうこともあります。では、台湾へ行ったらどうでしょう。やはり、沖縄を感じることがありますし、石垣島の痕跡を見付けることもあります。だけどそれは、薄皮を一枚剥いだようなところに隠れていることがほとんどなのです。深く掘りすぎると、原形をとどめなくなってしまうかもしれませんね。元の姿をとどめつつ、だけど、内側に潜むものもちゃんと見える。そんな透かし彫りの方法で、台湾と沖縄を見ていきましょう。   松田良孝のページ | Facebookページも宣伝

謝将軍と范将軍

謝将軍と范将軍が登場する行列に遭遇しました。 youtu.be 新北市にある永和保福宮で行われた練り歩き(繞境)の様子です。近場にある映画館で映画を観ようと思って近所を歩いていたところ、偶然出会いました。この場所は、夜には樂華夜市になる場所です。202…

鹿児島出身の「尾上英治さん」を探していらっしゃる方がいます(台湾成功鎮・新港)

台湾東部の台東県成功鎮に関するお知らせです。 成功鎮でさまざまな活動に取り組んでいらっしゃる陳韋辰さんから台北ナビの記事を教えていただきました。この記事は旧菅宮勝太郎邸を紹介するものですが、記事の末尾に別のお知らせが書かれています。 かつて…

『サルビルサ』に至る1年1カ月

2022年7月に石垣島の知人から送られてきたメールをきっかけに、2023年8月22日の取材につながりました。東京、埼玉、宮城に住む「本」の関係者など5人の方たちを介して、東京都多摩市を訪問し、都立永山高校の図書委員会のみなさんと出会いました。担当の先生…

蘇澳~与那国の船

2023年7月4日、台湾の宜蘭県蘇澳鎮と与那国島の祖納港の間を船が往復した。 このケースを、与那国島目線で見てみると、どんなことが言えるだろうか。 戦後、与那国島と台湾の間を船が合法的に行き来するのは、終戦直後の引揚船を除くと、極めて稀なケースと…

援農隊で与那国を支援 追悼・藤野雅之さん

与那国島のキビ刈り援農隊を組織した藤野雅之さんが亡くなった。2022年6月21日付「八重山毎日新聞」9面によると、17日に都内で亡くなったそうである。80歳だった。共同通信記者として与那国島を訪れたことをきっかけとして島の農業を支援してきた人である。…

玉木玉代さんを再考する

清明節で=2015年4月5日、台湾同郷之公墓 玉木玉代さんは2022年4月20日にお亡くなりになりました。 謹んでご冥福をお祈りいたします。 去年9月下旬に玉木玉代さんのところへ行った。玉木さんはいるにはいたが、テレビの前にあるいすに座ったまま眠り…

無色透明で密度の濃ゆい人たち

石垣島生まれで、石垣島在住でもあるTさんは、自身が台湾系であることを今も隠したままだ。知人のなかにはTさんが台湾系であることを知っていたり、覚えていたりする人がいるかもしれないが、それはともかく、自らの出自を語ることはない。先日、約20年ぶ…

まあまあな仕事

入間川の鉄橋は東武線が圧倒的に忙しい。 JRは静かだ。 川越が東武鉄道圏だという事実にあらためて気づかされた =2021年4月17日 最近、いろいろと考えることが多くて、パンク気味だった。それで、思い立って、西川越に行った。雨が降るという予報で、折り畳…

土地公の誕生日を祝う 石垣島の土地公廟でハイブリッドに

旧2月2日の2021年3月14日、土地神の一種、土地公の誕生日にちなむ祭祀が石垣島で営まれました。石垣島で執り行われる土地公の祭祀といえば、旧8月15日の土地公祭がよく知られていますが、今年は、石垣島名蔵地区に建立された土地公廟で初めて誕生日の祭祀が…

石垣島の土地公祭に転換点 台湾系の神事が大きな節目 (4)

かつては「ブタ祭り」 40年以上前の「八重山毎日新聞」に土地公祭のことが出ている。1977年9月に報じたもので、この記事には「土地公祭」という表記は見られず、「ブタ祭り」と表記されている。記事には次のように書かれている。 この祭りは、昭和8…

石垣島の土地公祭に転換点 台湾系の神事が大きな節目 (3)

もうひとつの土地公祭 2020年の土地公祭は、新型コロナウイルスの影響で縮小を余儀なくされた以外に、新たな動きがあった。個人の土地公廟を整備する作業が進み、完成に先駆けて神事が行われたのである。 この土地公廟は、石垣島で暮らす台湾2世の王田…

石垣島の土地公祭に転換点 台湾系の神事が大きな節目 (2)

再び「8月15日」へ 土地公祭の開催日は旧暦8月15日だが、2007年からこの日に近い休日に変更されている。台湾系の人たち、とりわけ学校に通う子どもたちが参加しやすいようにとの配慮によるものである。この方法は2019年まで続いたが、2020…

石垣島の土地公祭に転換点 台湾系の神事が大きな節目 (1)

豚を一頭丸まんま供えて神の祈る土地公祭(とちこうさい)は、沖縄県八重山地方に暮らす台湾系の人たちを特徴づける行事だ。石垣島の各地に点在する伝統的な聖地、御嶽(オン)のひとつである名蔵(なぐら)御嶽を会場に借り、旧暦の8月15日に開かれてい…

ブックカバーチャレンジが回ってきた(後編)

「グスク・ぐすく・城 動乱の時代に生み出された遺産」 琉球王国のグスク及び関連遺産群 世界遺産登録20周年記念特別展図録 沖縄県立博物館・美術館 2019年11月 「グスク・ぐすく・城 動乱の時代に生み出された遺産」 琉球王国のグスク及び関連遺産群 世界遺…

ブックカバーチャレンジが回ってきた(中)

「佐良浜漁師の南方漁」 佐良浜地区漁業集落活性化協議会 菊地悦子 文 山田光 絵 普天間一子 監修 2020年3月 南方漁のエリア 「佐良浜漁師の南方漁」を監修者の普天間一子さんにお送りいただき、さっそく開いてみた。温かみのある絵と、島ならではの言葉や習…

ブックカバーチャレンジが回ってきた(前半)

はがき www.y-mainichi.co.jp そのイベントは、コロナのために取りやめになってしまったのですが、来てくれた人たちに配るつもりでポストカードを準備していたので、急を要しない連絡のときにたまに書いて送っています。コンビニのコピー機を使うと、自分で…

龍山寺から煙が消えた

線香を手にする人 龍山寺ではこの日を最後に、境内で線香を奉げることができなくなった =2020年3月12日(松田良孝撮影) 18世紀半ばに開かれた台湾を代表する寺廟、龍山寺で13日、それまで実施していた線香の無料配布を取りやめた。線香を持参することも控え…

台所はないけど、自炊

左上から時計回りに、グリーンピース、うずら豆、黒豆 =2020年3月1日 家賃重視で台北に拠点を構えるとなると、どうしてもキッチンは諦めなきゃならない。4年前から借りている今の部屋は新北市にあり、台北市中心部に通じるバスもMRTも充実。文句はないのだ…

新型コロナ日台比較への違和感

きょうの午前中、久しぶりにジョギングをしようとして外に出たら、春を思わせる陽気でした。あとで調べてみたら、気温は25度でした。 こういう天気になると、台湾の人たちは外にものを出して陽に当てる。私が台湾を好ましいと思う風景であり、こういう習慣を…

台湾のシュガートレイン(2020)

台湾で唯一のシュガートレインを撮りました。動画アップです。決して速く走るわけではないのですが、重たい荷物を着実に送り届けるまじめなところが尊敬したくなります。 台湾雲林県で今も現役のシュガートレインを訪ねるのは今年で4季連続です。今季は、近…

台北桃園空港で申告書(新型コロナ対策)

2020年2月19日(水)夜、台湾の桃園国際空港第1ターミナルから台湾に入国した。台湾では、新型コロナウイルスに関する申告書を提出することになっており、私も初めて提出しました。 こういうことをブログに書くと、台湾で感染した場合に備えた措置と…

陽明山の温泉

台北の中心部からそう遠くないところに温泉場があるのは台北のいいところだと思います。いえ、北投のことを言っているのではありません。龍鳳谷(信義路温泉)は、国際的な観光地としての備えはそれほどでもありませんが、それがかえって台湾らしい雰囲気に…

「与那国台湾往来記」書評

2019年11月、与那国島一周マラソンに参加しました。私はこの時、台湾から与那国島へその日のうちに移動したのですが、その経路は桃園空港から那覇空港、そこからさらに石垣島へ向かい、もう1本飛行機を乗り継いで与那国島に到達するというものです。…

市場のネコ

春節で人気がなくなると、あぶり出されたみたいにネコの姿が目に付きました。 写真で見ると、小ささがよく分かります。 taiwanokinawa.hatenablog.com

台北で春節の廟を訪ねる(動画)

新型のコロナウイルスが気になるところですが、だからこそ、春節には廟へ行かなければなりません。かつて、病の原因などまったく分からなかったころ、人びとは祈っていたに違いありません。そして、体を温めるために栄養のあるものを摂る。その形を見たよう…

春節直前の台北を歩く

祖先を祀る廟 2020年の春節は1月25日。その直前の週末となった1月19日の日曜日に台北市大安区を歩いてみた。ほんとうは、ある廟を参観するつもりでいたのだが、準備不足もあって空振り。MRTの六張犁駅に向かって路地をあてずっぽうに歩いてみたところ、なに…

西表島から台湾を望む

日本のなかで最も台湾に近い沖縄県八重山地方は伝統的な祭祀が数多く続いているエリアのひとつですが、そのうちのひとつ、「シマフサラ」という行事を西表島の干立村で取材しました。病など災厄をもたらすものどもを村から追い払うことを目的としています。…

首里城から太平山へ

人気の山 太平山の展望台=2019年12月3日、台湾宜蘭県大同郷で松田良孝撮影 2019年12月初旬の朝、宜蘭のバスターミナルに行った。太平山行きのバスに乗ろうとすると、満席で座席がもうないとのことだった。なんでそんなに混んでるのか?わざわざ平日を選んで…

金瓜石の向こうを歩く

「Mates 夥伴」(2011年) 「仲間がいて、生き延びられた」 日本統治期の台湾で本格的な開発が進んだ台湾の金瓜石で、金鉱の坑夫として働く台湾人の悲哀を描いた台湾映画「無言の丘」(原題「無言的山丘」、1992年、王童監督)には、「琉球から来た…

八重山の留学生がリーダーに

沖縄から台湾に留学する若者が、もはや珍しい存在ではなくなったことは本ブログでもお伝えしていますが、このたびはそこから一歩進んで、日本人留学生のリーダーになった沖縄の留学生がいるという話題です。 www.okinawatimes.co.jp 一足先に留学を経験し、…