台湾沖縄透かし彫り

沖縄を歩いていると、台湾のことを感じることがあります。とりわけ、石垣島などの八重山地方では、そのまんまの台湾に出会ってしまうこともあります。では、台湾へ行ったらどうでしょう。やはり、沖縄を感じることがあり、かつて石垣島から移り住んでいった人たちと足跡を見付けることもあります。だけどそれは、薄皮を一枚剥いだようなところに隠れていることがほとんどなのです。

 沖縄を歩いていると、台湾のことを感じることがあります。とりわけ、石垣島などの八重山地方では、そのまんまの台湾に出会ってしまうこともあります。では、台湾へ行ったらどうでしょう。やはり、沖縄を感じることがありますし、石垣島の痕跡を見付けることもあります。だけどそれは、薄皮を一枚剥いだようなところに隠れていることがほとんどなのです。深く掘りすぎると、原形をとどめなくなってしまうかもしれませんね。元の姿をとどめつつ、だけど、内側に潜むものもちゃんと見える。そんな透かし彫りの方法で、台湾と沖縄を見ていきましょう。   松田良孝のページ | Facebookページも宣伝

西表

無色透明で密度の濃ゆい人たち

石垣島生まれで、石垣島在住でもあるTさんは、自身が台湾系であることを今も隠したままだ。知人のなかにはTさんが台湾系であることを知っていたり、覚えていたりする人がいるかもしれないが、それはともかく、自らの出自を語ることはない。先日、約20年ぶ…

石垣島の土地公祭に転換点 台湾系の神事が大きな節目 (4)

かつては「ブタ祭り」 40年以上前の「八重山毎日新聞」に土地公祭のことが出ている。1977年9月に報じたもので、この記事には「土地公祭」という表記は見られず、「ブタ祭り」と表記されている。記事には次のように書かれている。 この祭りは、昭和8…

西表島から台湾を望む

日本のなかで最も台湾に近い沖縄県八重山地方は伝統的な祭祀が数多く続いているエリアのひとつですが、そのうちのひとつ、「シマフサラ」という行事を西表島の干立村で取材しました。病など災厄をもたらすものどもを村から追い払うことを目的としています。…

蘇澳から出発! 蒸気機関車のイベント列車

宜蘭線の部分開業から100年を記念して、蒸気機関車が引っ張るイベント列車が運行した 冬山駅 (写真はいずれも2019年6月4日午後、松田良孝撮影) 台湾の北東海岸を走る宜蘭線を蒸気機関車が引っ張るイベント列車が走るというので乗りにいってみました。ただ…

「海がきれい」だけじゃない  沖縄と澎湖は似ています

発泡スチロールを使ったボートに腰掛けてみたところ、ちゃんと乗れた! 馬光市の文光中学からエコクラブのメンバーが参戦 海岸には材料になるものがごみとして大量に漂着しており、必要な部品はすぐに調達できてしまう (写真はいずれも2019年4月14日、台湾…

「台湾引き揚げ」が静かなブームに

戦争体験の階層化を越えられるか 戦後、台湾にいた沖縄関係者が引き揚げに関する話し合いに使っていた建物。屋根の一部が崩れている =2017年3月2日午前、台北市南昌路一段 観光客もよく訪れる台北市内の南門市場の裏手に、屋根の一部が崩れ落ちた2階建ての…

翻訳本で沖縄を「自己紹介」(2)

アジア視野に動き出した県産本 県産本ネットワークは台北国際ブックフェアに向けて、あらためて県産本30冊のリストを作成している。たとえば、料理に関する本としてジャンル分けされた4冊(伊是名カエ「okinawa soup」東洋企画、はやかわゆきこ「…

翻訳本で沖縄を「自己紹介」(1)

アジア視野に動き出した県産本 2018年の台北国際ブックフェアに参加した沖縄の県産本関係者ら=2月6日、台北市 okiron.net 那覇市の国際通りに近い第一牧志公設市場の前にある「市場の古本屋 ウララ」という小さな古書店に、外国語の翻訳本を持って台湾から…

南大東島への出稼ぎ体験が絵本になる!?

台湾嘉義県の農村部に位置する大林鎮上林地区から多くの人たちが復帰前の南大東島へ出稼ぎに行っていたことはすでに本ブログで紹介していますが、そのいきさつをテーマにした絵本の制作が進められています。 台湾から南大東島への出稼ぎをテーマにした絵本を…

【動画あり】台湾・南方澳でサバ祭り

台湾北東部の宜蘭県蘇澳鎮にある漁港、南方澳で、サバをPRする祭りがあると聞いて見学してきました。蘇澳鎮は沖縄県石垣市の姉妹都市ということもあり、何度か取材に訪れており、「サバ祭り」の名前もよく目にし、耳にしていましたが、ようやく参観する機会…

ヤマネコを守って、そして・・・

台湾にもヤマネコがいると聞き、台湾苗栗県銅鑼郷を訪ねました。「石虎」と呼ばれるベンガルヤマネコの一種です。日本統治期の資料にはタイワンヤマネコとの記述もあるこの猫は、かつては台湾に広く生息していたようですが、今では500頭ほどに減少していると…

八重山PRのステージパフォーマンス

「日本の観光・物産博2017」の特設ステージで中国語の歌を披露する八重山商工高校の出地佑希君。 後ろはミス南十字星の大久奈織さん(左)と八重山商工高校の大島悠莉さん =2017年6月24日午後、台北市内の台北駅で松田良孝撮影 パフォーマンスは「自然と」 …

台湾で沖縄黒糖

お値段高めでも「売れます」 www.okinawatimes.co.jp 5月10日は、残念ながら台湾では「黒糖の日」ではないが、沖縄の黒糖は台湾でも使われているので見過ごせない。台北市内で3カ所に店を出す肉まん店「潮州包子」は3年ほど前から沖縄の黒糖を使った蒸し…

サシバが結ぶ縁 台湾の小学生が八重山訪問へ

石垣島と西表島を訪れることになった台湾彰化市の小学生たち=松田良孝撮影 環境学習がきっかけ 渡り鳥のサシバは台湾でもよく知られ、渡りのルートに含まれる沖縄に関心を持った台湾の小学生たちが来月下旬、石垣島や西表島を訪れることになった。石垣市に…

竹製のいかだ、姿現す

台湾ー与那国航海の準備すすむ ほぼ完成した竹製のいかだ =2017年4月13日、台湾・台東市(国立台湾史前文化博物館提供) 6月に試験航海 2019年に台湾から与那国を目指す竹製のいかだがほぼ完成した。国立科学博物館の「3万年前の航海徹底再現プロジェクト」…

台湾疎開の本

沖縄からやってきた疎開者が暮らしていた建物 =2007年9月2日、台南市佳里区で松田良孝撮影 www.okinawatimes.co.jp 2010年に上梓した拙著「台湾疎開」のことを、版元の南山舎で拙著の担当してくださった大森一也さんが書いてくださっています。2016年3月11…

移民社会としての八重山

八重山毎日新聞に勤務していたころ、取材でお世話になったお二人の方が2016年12月、相次いで亡くなった。いずれも西表島の方で、お一人は、大原にお住まいだった忘勿石之碑保存会長の平田一雄さん。1933年10月18日生まれ。12月3日没。享年83歳。もうお一方は…

台湾人ライターの目

台湾からやってきたライターや編集者、旅行関係者、映画宣伝担当者といった面々と一緒に石垣島を回ってきました。彼らは2016年8月27日から8月31日までの5日間、八重山を回ったのですが、私は8月30日だけお付き合いしました。 台湾のライターや編集者がペンギ…

台湾映画「太陽の子」

すでにさまざまなところで話題になっている作品ですが、「太陽の子ウィーク」なるものがあるのだそうです。9月10日から19日まで。台湾映画「太陽の子」(原題「太陽的孩子」)は2015年10月に台湾で観ましたが、こんな作品ならいつかまた観てみたいと思ってい…

八重山の大自然で台北を覆いつくしてみる

面積は互角 人口はけた違い 収穫を控え、穂を垂れる西表島の米(2016年6月4日、松田良孝撮影) 台北が全部森に覆われていたとしたら…… そんな空想の世界をリアルに体験できるのが八重山諸島にある西表島だ。台北市と比較してみよう。 西表島の面積は289.30平…

亜熱帯の森に潜む台湾人の息遣い

西表島の大自然 樹木が絡みついているものの、崩れずに残っているトロッコレールの支柱 (2016年6月3日、西表島の宇多良炭坑跡、松田良孝撮影) 西表島といえば、マングローブ林やイリオモテヤマネコ、カンムリワシなどに代表される亜熱帯の大自然が観光客を…

八重山台湾ツアーのエッセー掲載

本ブログのメインテーマといってもいい八重山と台湾の関係をそのまま旅するツアーについて、エッセイがアップされています。執筆者からご連絡をいただきました。 次の写真をクリックしてみてください。 無縁仏などを祀る台湾の廟。 2016年6月の八重山台湾ツ…

パインをめぐる八重山と台湾のつながり

八重山に住む台湾人を取り上げたドキュメンタリーフィルム「海的彼端」のウエブにコラムを執筆しました。パインをめぐる八重山と台湾のつながりがテーマです。 日本語の原文をご紹介します。 <八重山のパインアップルは台湾から> 家庭でも職場でも 陽気が…

西表炭坑に台湾人の足跡を訪ねる

リユースの弁当箱 カヌーに乗る前に黒紫米のおにぎりなどで腹ごしらえ (2016年6月3日、竹富町西表島の浦内川観光、松田良孝撮影) 西表島西部の浦内川河口付近からカヌーに乗り込み、支流の宇多良(うたら)川へ向かう前、カヌーステーションで腹ごしらえ。…