パインはどこから来たの?
石垣島など沖縄の八重山地方を旅したことがあれば、パイナップルを味わったという人は少なくないでしょう。このパイン、もともとは戦前、台湾から持ち込まれたものが定着していったという歴史があります。パインは、石垣・沖縄と台湾を結ぶ象徴的な存在なのです。
そのパインをいわば“主人公”にして、石垣・八重山と台湾のかかわりを描き出すドキュメンタリー映画「はるかなるオンライ山」の上映会が11月24日午後6時半から東京港区虎ノ門の台湾文化センターで開かれます。都内では、12月5日からポレポレ東中野での上映が予定されていますが、1日でも早く見たいという方にはお勧めです。
「牡丹社」から「今」へ
映画では、石垣島に暮らす台湾系の人たちのインタビューがふんだんに登場し、八重山のパインが歩んできた道のりが語られていきます。1871年に台湾で宮古島の人たちが殺害されてから1874年の台湾出兵に至る「牡丹社事件」とその後に植民地統治など、八重山と台湾の行き交いの背景にある歴史の掘り下げ方も丁寧です。カメラは、台湾からやってくる観光客にも向けられ、八重山と台湾の間にある交流の「今」にも迫ります。
これまでにはもちろん、現在でも石垣島の人々と台湾の人々の間に対立や軋轢が起こることがありますが、人々の間に生じる行き違いをいかに乗り越えていくのかという点でも示唆を与える作品といえるかもしれません。
石垣島では、人口約5万人のなかに、台湾系の人たちがおよそ500~600人に暮らしていると言われます。このうちのほとんどが、台湾出身ではない2世や3世で、母国で生活した経験を持つ1世の方はほんとうに少なくなりました。
「はるかなるオンライ山」は、八重山と台湾の関係に関心を寄せる人たちにはもちろん、台湾系の方たち、華人・華僑の人たちにもお勧めです。