さすが
池間苗さんが数え97歳のカジマヤーを迎え、その記念に、与那国町にある小学校と中学校に図書購入費を寄付したという記事が掲載されていました。この記事を読んで、さすが池間さんだと思わずにいられませんでした。
与那国民俗資料館
私が池間さんから初めてきちんとした形でインタビューさせていただいたのは、1990年代の末のことです。そのころ、私は、戦後初めての与那国町議会議員選挙で誕生した女性議員3人のうちの1人、玉城喜美代さん(1906-2006年)からインタビューしていて、その補足取材をするために与那国民俗資料館に池間さんをお訪ねしたのです。
玉城さんは日本統治下の台湾で看護師と助産師の資格を取った方で、そのインタビューを文章にまとめるには、与那国島における出生に関する習わしについて知っておく必要がありました。与那国民俗資料館には、お産の日から10日間、門の両側に提げ、喜びを知らせるとともに魔除けにもする「シルンナ」の実物などがあり、私は池間さんの解説をうかがいながら拝見したのです。
池間さん自身も、玉城さんら3人の女性議員について執筆したことがあり、玉城さんのことを書くのであれば、どうしても池間さんに会っておかなければなりませんでした。
島を豊かに
このエピソードは、池間さんの仕事のほんの一部を紹介したものにすぎません。
与那国民俗資料館という私設博物館を開き、資料を充実させ、やってくる人に資料を説明する。このようにして島の歴史や文化を一つの空間に配置してきた池間さんなのだから、息子の龍一さんが記事のなかで図書購入費寄付のことを「学校教育に強い関心を寄せている母の強い希望」と説明しているのは納得がいきます。
島を豊かにするという言葉がありますが、その本当の意味を池間苗さんはご存知なのです。あらためてそう感じました。
※ 2015年11月28日付『八重山毎日新聞』9面を参照しました。