大塚は好きな街のひとつです。都電の風景に、肩の張らない空気を感じることができるのがいい。
その日は明るい冬空の朝で、少し早めに宿を出て、いい具合に曲がりくねったレールを小さな電車が走っていくのを見ることにしました。
日曜日のことです。
どこへ行くのか知らないけれども、駅前では、けっこうな人たちが早い時間から歩いたり、自転車に乗ったりしていて、そのほとんどはどうみても遊びにいくような顔はしていなかった。勤め人の顔をしている。
難儀して働くわけだから、自らの仕事のなかに、なにがしかの価値を感じ取れたらいいと思う。二十四時間のなかの、少なくない部分を割くわけだし。