変化する永楽市場
台北市の迪化街にある永楽市場で整備が行われており、訪れるたびにその姿が少しずつ変化している。2015年4月に訪れたときに工事が行われていた場所は、半年後の10月には広場としての整備が終わり、通行できるようになっていた。次に行ったら、どんな表情をみせているのだろうか。
永楽市場は1908年に台湾人向けに造られた永楽町市場が原型。同じ年に日本人(当時の呼び方では「内地人」)向けにできた西門町市場と比較してみると、食文化が違いを垣間見ることができる。
西門とは対照的
台北市役所が1940年にまとめた「台北市政二十年史」には、市場ごとの年間売り上げが品目ごとの一覧表になっており、永楽町市場では①豚肉②飲食店③鮮魚④呉服⑤洋雑貨―の順。西門町市場はというと、①鮮魚②氷飲料水③洋雑貨④調味漬物⑤豚肉―となっている。豚肉と鮮魚でランクが入れ替わっており、だれが何を食べたがるのかがくっきりと分かる。豚肉に至っては、永楽町が西門町の10倍以上に達している。
今、迪化街を歩いてみると、日本語の会話が聞こえてくることも珍しくない。他方、西門を尋ねてみると、台湾随一の繁華街で台湾人たちの熱気に紛れこんだような気分になる。もとの市場ができて百年余り。日本人向けとか台湾人向けとかいう区別はなくなり、日本人の居場所も変化しようというものである。