水産資源が急減
台湾北部の海域でこの30年間に魚の種類が4分の1に激減したというニュースが報じられた。台湾のネットニュース「聯合新聞網」が2016年1月3日、基隆発のニュースとしてアップした。ニュースは専門家のコメントとして「台湾では水産資源の枯渇が急速に進んでいる。自然界に棲息する魚を食べられなくなるおそれがある」と指摘し、「台湾は魚のいない島になろうとしている」と刺激的だ。
「見る」と「食べる」
かつて、台湾東部の港町、南方澳で競りの様子を見ていたところ、与那国島を訪れるダイビング客に「見る」魚として人気のあるシュモクザメ(ハンマーヘッドシャーク、雙髻鯊)が「食べる」魚として売り買いされていた。その魚が持つ価値に違いはあるけれども、台湾と与那国は間違いなく同じ海でつながっているのだ。
であるならば、台湾に魚がいなくなるかも、という事態は八重山・沖縄とも密接にかかわる。
いずれは「からすみ」も?
今回の魚激減という事態は、中央研究院の研究グループが1987年から原発の海水取水口に網を設け、捕獲される魚を分析することによって分かったという(台湾北部には新北市の石門区と万里区に1カ所ずつ原発がある)。姿を消した魚の中には、からすみの原料となるボラも含まれているというから、随分と気になる話である。
魚種が減少した背景としては、過剰な漁獲や環境汚染、生息地の破壊、気象変動などが挙げられている。日本の水産環境とも重なり合う問題だ。台湾と沖縄の間では、クロマグロ漁をめぐって協議が続いているが、水産資源の適正な共同管理についても継続的で実効性の高い取り組みが必要だ。