台湾沖縄透かし彫り

沖縄を歩いていると、台湾のことを感じることがあります。とりわけ、石垣島などの八重山地方では、そのまんまの台湾に出会ってしまうこともあります。では、台湾へ行ったらどうでしょう。やはり、沖縄を感じることがあり、かつて石垣島から移り住んでいった人たちと足跡を見付けることもあります。だけどそれは、薄皮を一枚剥いだようなところに隠れていることがほとんどなのです。

 沖縄を歩いていると、台湾のことを感じることがあります。とりわけ、石垣島などの八重山地方では、そのまんまの台湾に出会ってしまうこともあります。では、台湾へ行ったらどうでしょう。やはり、沖縄を感じることがありますし、石垣島の痕跡を見付けることもあります。だけどそれは、薄皮を一枚剥いだようなところに隠れていることがほとんどなのです。深く掘りすぎると、原形をとどめなくなってしまうかもしれませんね。元の姿をとどめつつ、だけど、内側に潜むものもちゃんと見える。そんな透かし彫りの方法で、台湾と沖縄を見ていきましょう。   松田良孝のページ | Facebookページも宣伝

80年の畑

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 旧知のAさん宅を訪ねた。先客がいて「食材探しですか?」と聞かれた。そりゃそう思うだろうなと納得した。食べられる植物の種類も、食べられるトリの種類も、それほどまでに多い。事実、私はこのとき、6月にやってくる客をもてなす準備のためにAさん宅を訪れていて、パインの収穫体験をさせてあげられるかどうか相談にきたのだった。Aさんの奥さんは「時期が少し早すぎる」と困った顔をしていたが、それでも「ほかに何か食べられるものはないか」と尋ねてしまった。Aさんのところならなんとなるのではないか考えるのは私にとっては自然なことで、食べられるアイテムはそれほどまでに種類が多い。

日光と湿度

 Aさんの農場では、母屋から斜面が落ち込んでいくところに鳥たちを飼っている。養鶏場でおなじみのニワトリももちろんいるが、そればっかりがだーっと並んでいるわけではなく、色や大きさもまちまちのトリたちがとことこ勝手に歩き回っている。シチメンチョウだっている。

 その向こうには、Aさんがパイナップルを育てている畑が広がっていて、人が長い間手をかけることで山がこんなにも変わるのかと思わされる。この場所は80年前、絡み合う木々が森を成していたはずだ。それが今はこういう姿になっていて、Aさんら台湾から移り住んできた人たちは、隙あらばまた森に戻そうとする日の光や湿っ気をなだめ続けているわけだ。

 6月は残念ながらAさん宅への訪問は難しいみたいだ。だけど、いずれまた近いうちに機会があることだろう。