マンゴーの枝釣り
葉は青々としているのに、つぼみが房状に連なったところは黄色から赤へと、まるで紅葉しているように色付いている。マンゴーの花が咲き、早いものでは小豆ほどの実がぷっくりとしはじめていた。
彰化県員林出身の台湾系2世、島本哲男さんが営む石垣島嵩田(たけだ)地区の農園をお訪ねしたところ、マンゴーの枝吊りの真っ最中だった。実り始めたマンゴーにまんべんなく日を当て、風通しを良くするための作業である。作業はマスクを掛けて行っており、これは花粉よけなのだとか。ハウスのなかに充満したむっとする独特のにおいの正体が花粉なのだそうだ。
地面を歩くたびに、足元に柔らかさを感じるのはサトウキビの葉を敷き詰めてあるためである。
気になる生育
島本の話によると、ことしのマンゴーは花が遅く、人によってはまったく花が付かないという農家もいるというから心配だ。確かに、マンゴーの栽培している別の知人の奥さんが「ことしは、マンゴーがゼロかもしれない」と話しているのを私は最近聞いている。
島本さんはマンゴーを栽培して20年以上というベテランなのだが、実が付く時期は少しずつ早くなってきたそうだ。それがことしは花が遅れたことから、当初実っていた時期よりもさらに遅くなりそうだとか。何がどう作用しているのかは不明ながら、陽気の変化がマンゴーに影響しているのは想像に難くなく、曰く「次に生まれてくるときは、天気と関係のない仕事に就きたい」。
お隣の宮古では、十分な収量が見込めないことから、夏に予定していた「第7回マンゴーまつり」の開催を見送られている。八重山の夏を代表する味覚だけに先行きが気になるところだ。