台湾沖縄透かし彫り

沖縄を歩いていると、台湾のことを感じることがあります。とりわけ、石垣島などの八重山地方では、そのまんまの台湾に出会ってしまうこともあります。では、台湾へ行ったらどうでしょう。やはり、沖縄を感じることがあり、かつて石垣島から移り住んでいった人たちと足跡を見付けることもあります。だけどそれは、薄皮を一枚剥いだようなところに隠れていることがほとんどなのです。

 沖縄を歩いていると、台湾のことを感じることがあります。とりわけ、石垣島などの八重山地方では、そのまんまの台湾に出会ってしまうこともあります。では、台湾へ行ったらどうでしょう。やはり、沖縄を感じることがありますし、石垣島の痕跡を見付けることもあります。だけどそれは、薄皮を一枚剥いだようなところに隠れていることがほとんどなのです。深く掘りすぎると、原形をとどめなくなってしまうかもしれませんね。元の姿をとどめつつ、だけど、内側に潜むものもちゃんと見える。そんな透かし彫りの方法で、台湾と沖縄を見ていきましょう。   松田良孝のページ | Facebookページも宣伝

八重山・台湾の新しい風景

6月2日、ツアー開始

 石垣島竹富島と台湾の台北などを八重山台湾ツアーが2016年6月2日に石垣島からスタートするのを前に、ツアーでお世話になる島本哲男さんのマンゴー農園にお邪魔しました。1カ月前に訪れた時にはせいぜい親指の先ぐらいしかなかったマンゴーですが、子どもの手こぶしぐらいには成長しており、ようやくマンゴーらしくなっていました。2016年産のマンゴーが不作で、石垣島ではほとんど実らない農園があるほか、島本さんのようにそこそこの収穫を見込める農園でも収穫時期が大幅に遅れ、7月後半になりそうだということです。

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マンゴー農園で生育状況を話す島本哲男さん(2016年5月18日、石垣市登野城嵩田)

つかめない距離感

 島本さんは台湾員林出身のご両親のもと、石垣島で生まれた台湾系2世。その来歴によって八重山と台湾のつながりを体現しておられる方のおひとりです。今回お訪ねした時には「ぼくは石垣島生まれだから、台湾のことはよく分からんよ」とおっしゃっていましたが、この発言こそはまさに八重山と台湾の関係を示しているように思えてなりません。筆者のような周りの者には「台湾系2世」と位置付けられる島本さんですが、当のご本人は台湾性と距離を置こうとしており、八重山と台湾の距離感をつかむのはたやすいことではないと気付くことができるからです。

「個」と「エリア」を足掛かりに

 石垣島など八重山を訪れる観光はそれだけで楽しい。

 台湾に遊びにいく観光はそれだけで楽しい。

 では、八重山と台湾を組み合わせた観光からは何が見えてくるのでしょうか。今回のツアーでは「個」と「エリア」を足掛かりに新しい風景を探していきます。