台湾の高校生に「八重山の台湾人」を語る
台中文学館を訪れ、ポーズを決めて写真に収まる若者たち
=2016年9月10日午後、台中市で松田良孝撮影
「八重山毎日新聞」の2016年9月19日付9面にドキュメンタリー映画「海の彼方」に関する記事を書きました。台中の台中文学館で八重山の台湾出身者をテーマにした展示会が開かれ、台中にある天主教曉明女子高級中学(高校)の生徒120人が見にきてくれました。黃贏毓監督が自ら展示資料を説明したほか、続いて行われた講演ではわたくしから八重山の台湾人について若干のお話をさせていただきました。
「海の彼方」に関連して取り組みとしては、今月から来月にかけて、台湾各地の大学で講演の機会を作っていただいているのですが、八重山とは何か、沖縄本島と八重山は同じ沖縄ではないのか、八重山に住む台湾人と沖縄本島に住む台湾人はどう違うのか、といった根本的なところを伝える難しさを感じています。
イコールで結べるのか
日本>沖縄>八重山>石垣
という単純な「入れ子」の構造が、台湾の人たちにはあるのかもしれないと思うようにしています。文化や風土といったところでは、大なり、小なりといった関係もなければ、価値の軽重もなく、「イコール」や「ニアリー・イコール」で結んだっていいのですが、それは石垣島や沖縄で暮らしたことのある者だから言えることであって、「石垣島へ旅行に行くことは、(東京や大阪と同義の)日本へ遊びにいくこと」と考えている人には違和感があることでしょう。
名字談議
身分証明書など貴重な資料も展示された
=2016年9月10日午後、台湾台中市の台中文学館で松田良孝撮影
台中では、高校生から「なぜ、その人たちが台湾出身だと分かったのですか?」と取材の経緯を聞かれ、「ほかの人たちと名字が違います。日本語の発音にもなまりがあるので、その人が台湾から来たのだと分かりました」と答えました。しかし、それならば、石垣島に特徴的な名字を説明し、それが日本国籍取得後の台湾人の名字とどれだけ違うかを説明しなければなりません。
2016年9月26日に台中の東海大学を訪問した時には、この点を説明してみたのですが、すると今度は「(日本国籍取得後の)台湾人の名字は、日本本土の人たちとはどう違うのか」と聞かれ、本土と沖縄の違いにまで話を広げる必要があるのだと気付かされました。
しかし、同時に戸惑いも。
これでは、話がどんどん広がってしまうではないか。
肝心の、八重山の台湾人の話から、名字談議になっていってしまうのではないか。
この辺は、わたくしの伝える方法にかかっているということなのでしょう。台風17号で水入りとなりましたが、30日の台南から大学めぐりを再開します。