泡盛には関税
与那国町は台湾の花蓮市の姉妹都市の盟約を結んでいて、5年に1度、町民の訪問団が花蓮を訪れています。そのとき、贈り物として、また、町が主催して花蓮市民を招くパーティーのために島の泡盛をかなりたくさん持っていくのが通例です。しかし、ただ持っていけばいいというわけにはいかないのが難しいところ。売り物として持ち込むのではないということをわざわざ那覇の台北駐日経済文化代表処那覇分処を通して台湾政府の税関当局に伝えているのだという話を町長から聞いたことがあります。
そうしないと、関税を支払わなければならなくなるかもしれないというのです。確かに、何本もの泡盛を持参した人々が桃園空港から入国しようとしたら、台湾の税関当局もそれなりの対応をしなければならなくなるというものです。
1本5000円の高級酒
実際、台湾で泡盛を買うとなると、どうしても値が張ってしまいます。
2016年10月28日から11月14日まで台北市信義区の新光三越A11で開かれた日本物産展には、沖縄のブースに泡盛も並び、720ミリリットル入りが1200~1500元程度で販売され、これは日本円にすると、4000~5000円近くというお値段です。
台湾で泡盛を取り扱い、このブースも担当した達正食品(本社新北市)の湯正介総経理は「泡盛は、台湾では高級酒として売っていったほうがいい」という考えです。物産展の会場がデパートであることも重要なポイントで、これが台湾の人たちに安心感を与えているのだとか。百貨店の商品が若干高めなのは、安心感や信頼感に依るものと考えれば、高級酒としての泡盛が受け入れられるためにはデパートという「場」を売り場に選択することも販促戦略のひとつということになります。
カクテルで手軽に
今回の物産展では「泡盛で手軽にカクテルを楽しむ」というアイデアも打ち出されました。「梅酒など味の付いたものが人気」(湯正介総経理)という泡盛ですが、購買層のすそ野をさらに広げようという試みです。
コンビニなどでも買えるフルーツジュースや清涼飲料水を使った泡盛のカクテルを、10月に横浜で開かれたカクテルコンペで優勝した台湾の大学3年生、梁嘉仁(リアン・ジアレン)さん(20)が披露するイベントがあったのです。梁さんは、アクロバチックな演技を交えながらシェイクを披露し、会場の人たちにカクテルをその場でふるまっていました。
使用したのは請福酒造(本社石垣市)の古酒。梁さんは、炭酸飲料を加えただけのカクテルについて「泡盛そのものの味とにおいも楽しめると思う」と話していました。梅酒とクランベリージュースを合わせたカクテルなどもありました。