パフォーマンスは「自然と」
沖縄県立八重山商工高校3年の出地佑希君に初めて会ったのは2016年10月。インターンシップの一環として、台北市内で開かれた物産展に参加するために来台した時が最初です。同校の観光コースは中国語の学習が必修で、出地君は最も熱心に学んでいる生徒の一人です。だからといって、台湾の人たちの前でステージに立ち、マイクを握ってパフォーマンスをみせられるかと言えば、当然ながら、それは別のことなのですが、2017年6月に台北駅で開かれた日本の観光イベントの特設ステージで、出地君はすっかり板に付いていました。「リトル・アップル」を中国語で気持ちよさそうに歌う姿に、随分離れしているなと感心したのですが、終わってから聞いてみると、「初めからそうしようと考えていたわけではなく、ステージで歌っていたら、自然とそうなった」とのこと。「リトル・アップル」が台湾でも人気だということは、2017年3月に修学旅行で訪れた花蓮高級農業職業学校で歌ってみて実感していたそうですが、場の盛り上げ方も大したもの。まったく物おじせず、八重山のPRに一役も二役も買っていました。
卒業後は、大学に進学して中国語を学び続けることを希望しているとのこと。八重山から手放すのは持ったない気もするのですが、いろいろな面でさらに磨きをかけて、いずれはまた八重山で、あるいは八重山以外のどこかで、架け橋の役割を存分に果たしてくれることでしょう。
卒業までまだ何カ月もあります。八重山で開かれる台湾関係のイベントで活躍してくれたらうれしいですね。
「彼は本当に高校生なのか」
【台北】「日本の観光・物産博2017」(同実行委員会主催)が2017年23日から3日間、台北駅で開かれ、観光産業を担う人材育成の一環で石垣市から派遣された八重山商工高校商業科観光コースの出地佑希君(3年)と大島悠莉さん(2年)が24日、ミス南十字星の大久奈織さん(20)とともに特設ステージから台湾の人たちに八重山の魅力をPRした。
出地君は中国語の歌「リトル・アップル」などアップテンポの2曲を歌い、間奏では「石垣島に来たことがありますか」と中国語で呼びかけ。ステージ慣れした姿に、八重山ビジターズビューロー(会長・中山義隆石垣市長、YVB)のブースへ「彼は本当に高校生なのか」と確かめにきた台湾人もいたという。
出地君は大久さんのあいさつでは通訳も務め、同校卒業生の大久さんは「後輩の通訳で安心してあいさつすることができました」とほっとした表情。出地君は「海外と八重山の架け橋になりたいという思いが強まりました」と話した。
大久さんと「安里屋ユンタ」を踊った大島さんは「緊張しましたが、台湾の人たちが熱心に見てくれたのでよかった」と話した。
二人はYVBのブースで観光PRの手伝いなども行った。
4年間で1.5倍に増加
同イベントは、訪日リピーターの多い台湾向けに、日本の地域を深く知るツールとして各地の観光資源や物産を紹介するもの。2016年に八重山を訪れた台湾人観光客は8万8千人で、東日本大震災の翌年の2012年から1.5倍に増えた。同じ時期に県全体では4.3倍の60万7千人、全国では2.8倍の416万7千人にそれぞれ増加した。