新垣通商のアンテナショップ「日本情報発信館(E∞JAPAN)」
=2017年7月22日、台北地下街
沖縄発のビジネス2題
沖縄の商社、新垣通商(新垣旬子代表)が台北地下街にアンテナショップを開くと聞き、台湾に沖縄の物産を売り込む仕組みが民間の側から構築されるものとわくわくしたが、いざ、取材の現場に行ってみると、そればかりではなく、ビッグデータ絡みのちょっとおもしろい話が絡んでいた。
2017年6月22日午後、アンテナショップ「日本情報発信館(E∞JAPAN)」へ取材に行ってみたところ、旧知の新垣代表が「いい話があるよ」とショップの話もそこそこに紹介してくれたのはアイディーズの山川朝賢代表。アイディーズといえば、昨年暮れ、宜蘭県との間で覚書を締結し、台湾でビッグデータの活用に乗り出していた豊見城市のベンチャーだ。
その山川代表がなぜ?
この「?」を解くには、台湾の内政と地方政治についてちょっとだけ知識があるといい。
アイディーズが覚書を締結した時、宜蘭県長は林聡賢(リン・ツォンシエン)氏。
林氏は2017年2月から、台湾政府農業委員会(農水省に相当)の主任委員(大臣)に就任。
広がった人脈
台湾政府農業委員会の林聡賢主任委員と面談した山川朝賢氏、新垣旬子氏(中央から左へ)
=2017年6月22日午前(新垣通商提供)
山川代表はもともと、林氏が2016年9月に沖縄を視察した際に知り合っており、台湾における山川氏の人脈は宜蘭県から台湾の農業関連分野全体へと広がる可能性が出てきたわけだ。沖縄発のビッグデータ・ビジネスは、より高く飛べるチャンスを得たことになる。
アイディーズは今後、台湾でデータ・サイエンティストを養成することになるわけだが、そこには、台湾においてビッグデータへの需要を喚起したいという狙いもある。台湾で市場を育てることに成功すれば、日本国内の特許を持つ同社独自の食品統一コード「i-code」も海外展開に向けた足場を強化することができる。
まずは店舗のPR
アンテナショップ「日本情報発信館(E∞JAPAN)」には、食品統一コード「i-code」に対応したレジを設置している。現在は店舗の存在をPRする段階で、毎月の第三週末をめどに試食などの販促プロモーションを実施している。場所は台北地下街の一番西側。台北のことをちょっと知っている人なら、MRTの北門駅からのほうがアクセスしやすいだろう。台北の地下街は迷路だ。あちこち寄り道しながらアンテナショップにたどりつく、というのも悪くはない。