オキコが台湾“参入”
沖縄県内のパン製造大手、オキコ(西原町、仲田龍男社長)が台湾ファミリーマート(葉榮廷董事長、全家便利商店)との共同出資で台湾に合弁会社を設立し、台湾ファミマにパンを供給することになった。「沖縄タイムス」が2015年12月4日付で報じたもので、オキコはすでに台湾ファミマから職員を受け入れており、自社が持つレシピを基に、パンを台湾の味覚にアレンジしていくという。
沖縄と台湾の間で成立した新たなビジネスマッチングだ。「沖縄タイムス」も「オキコの海外企業への技術協力は初めて」と好意的に報じている。
「セット販売の王様」
このニュースは台湾ではどう報じられているのだろうか。
「工商時報」電子版は11月26日付で「搶黒金併買商機、除升級咖啡外、全家再砸15億自建麵包廠」という見出しを付けた。意訳して日本の新聞風にアレンジしてみると「台湾ファミマが自社パン工場整備に15億元/コーヒーのセット販売ビジネス/豆のグレードアップに続き」といったところか。
この記事で興味深いのは「台湾ファミマの分析によれば、コンビニでコーヒーを買う客はほかの商品を一緒に購入していく傾向があり、朝ごはん用のパンと午後のスイーツがとりわけ多い。コーヒーとほかの何かを購入する場合の客単価は100台湾元を超え、全顧客平均の客単価より3割高い」としている点だ。記事ではコーヒーのことを、ほかの商品の売り上げにもつながる「セット販売の王様」と呼んでさえいる。
コーヒー+パンで成長空間へ
このため、台湾ファミマは店頭で販売するコーヒーを看板商品ととらえ、オキコとの提携に先だってUCCを導入。台湾ファミマの担当部長は「日本では1人平均、年間300杯のコーヒーを飲む。台湾ではわずか100杯余り。この差に大きな成長空間があり、投資する価値がある」と述べている。コーヒー市場への対応強化の延長線上にオキコとの提携があり、質の高いコーヒーで客を引き付けたあと、おいしいパンも買ってもらおうというわけである。
台湾ファミマではパンの売り上げが年間23億元に達し、一日に22万個から25万個のパンを販売している。現在は華福食品と統一食品から供給を受けているが、来年1月にも新工場での自賄いを開始し、パン需要の伸びに対して万全の体制で臨むことになりそうだ。そのカギを握るのがオキコである。