台湾沖縄透かし彫り

沖縄を歩いていると、台湾のことを感じることがあります。とりわけ、石垣島などの八重山地方では、そのまんまの台湾に出会ってしまうこともあります。では、台湾へ行ったらどうでしょう。やはり、沖縄を感じることがあり、かつて石垣島から移り住んでいった人たちと足跡を見付けることもあります。だけどそれは、薄皮を一枚剥いだようなところに隠れていることがほとんどなのです。

 沖縄を歩いていると、台湾のことを感じることがあります。とりわけ、石垣島などの八重山地方では、そのまんまの台湾に出会ってしまうこともあります。では、台湾へ行ったらどうでしょう。やはり、沖縄を感じることがありますし、石垣島の痕跡を見付けることもあります。だけどそれは、薄皮を一枚剥いだようなところに隠れていることがほとんどなのです。深く掘りすぎると、原形をとどめなくなってしまうかもしれませんね。元の姿をとどめつつ、だけど、内側に潜むものもちゃんと見える。そんな透かし彫りの方法で、台湾と沖縄を見ていきましょう。   松田良孝のページ | Facebookページも宣伝

アート

無色透明で密度の濃ゆい人たち

石垣島生まれで、石垣島在住でもあるTさんは、自身が台湾系であることを今も隠したままだ。知人のなかにはTさんが台湾系であることを知っていたり、覚えていたりする人がいるかもしれないが、それはともかく、自らの出自を語ることはない。先日、約20年ぶ…

まあまあな仕事

入間川の鉄橋は東武線が圧倒的に忙しい。 JRは静かだ。 川越が東武鉄道圏だという事実にあらためて気づかされた =2021年4月17日 最近、いろいろと考えることが多くて、パンク気味だった。それで、思い立って、西川越に行った。雨が降るという予報で、折り畳…

ブックカバーチャレンジが回ってきた(後編)

「グスク・ぐすく・城 動乱の時代に生み出された遺産」 琉球王国のグスク及び関連遺産群 世界遺産登録20周年記念特別展図録 沖縄県立博物館・美術館 2019年11月 「グスク・ぐすく・城 動乱の時代に生み出された遺産」 琉球王国のグスク及び関連遺産群 世界遺…

ブックカバーチャレンジが回ってきた(中)

「佐良浜漁師の南方漁」 佐良浜地区漁業集落活性化協議会 菊地悦子 文 山田光 絵 普天間一子 監修 2020年3月 南方漁のエリア 「佐良浜漁師の南方漁」を監修者の普天間一子さんにお送りいただき、さっそく開いてみた。温かみのある絵と、島ならではの言葉や習…

ブックカバーチャレンジが回ってきた(前半)

はがき www.y-mainichi.co.jp そのイベントは、コロナのために取りやめになってしまったのですが、来てくれた人たちに配るつもりでポストカードを準備していたので、急を要しない連絡のときにたまに書いて送っています。コンビニのコピー機を使うと、自分で…

龍山寺から煙が消えた

線香を手にする人 龍山寺ではこの日を最後に、境内で線香を奉げることができなくなった =2020年3月12日(松田良孝撮影) 18世紀半ばに開かれた台湾を代表する寺廟、龍山寺で13日、それまで実施していた線香の無料配布を取りやめた。線香を持参することも控え…

「与那国台湾往来記」書評

2019年11月、与那国島一周マラソンに参加しました。私はこの時、台湾から与那国島へその日のうちに移動したのですが、その経路は桃園空港から那覇空港、そこからさらに石垣島へ向かい、もう1本飛行機を乗り継いで与那国島に到達するというものです。…

春節直前の台北を歩く

祖先を祀る廟 2020年の春節は1月25日。その直前の週末となった1月19日の日曜日に台北市大安区を歩いてみた。ほんとうは、ある廟を参観するつもりでいたのだが、準備不足もあって空振り。MRTの六張犁駅に向かって路地をあてずっぽうに歩いてみたところ、なに…

首里城から太平山へ

人気の山 太平山の展望台=2019年12月3日、台湾宜蘭県大同郷で松田良孝撮影 2019年12月初旬の朝、宜蘭のバスターミナルに行った。太平山行きのバスに乗ろうとすると、満席で座席がもうないとのことだった。なんでそんなに混んでるのか?わざわざ平日を選んで…

金瓜石の向こうを歩く

「Mates 夥伴」(2011年) 「仲間がいて、生き延びられた」 日本統治期の台湾で本格的な開発が進んだ台湾の金瓜石で、金鉱の坑夫として働く台湾人の悲哀を描いた台湾映画「無言の丘」(原題「無言的山丘」、1992年、王童監督)には、「琉球から来た…

「海がきれい」だけじゃない  沖縄と澎湖は似ています

発泡スチロールを使ったボートに腰掛けてみたところ、ちゃんと乗れた! 馬光市の文光中学からエコクラブのメンバーが参戦 海岸には材料になるものがごみとして大量に漂着しており、必要な部品はすぐに調達できてしまう (写真はいずれも2019年4月14日、台湾…

基隆・和平島で街歩き

台湾基隆の八尺門にある阿根納造船所跡 =2019年3月9日午前、松田良孝撮影 2019年3月9日午前10時から台湾島に隣接する基隆市の和平島を歩くツアーがあり、参加してきました。和平島は、沖縄出身の漁師がたくさん暮らしていたエリアで、沖縄台湾関係を考える…

2018年に台湾で撮影したMVは?

2018年に台湾で撮影したMVは8作品。九份は撮影場所として好まれた場所のひとつ 2017年11月28日、松田良孝撮影 日本のアーティストが台湾でミュージックビデオ(MV)を撮影した楽曲は、2018年には8点となり、前年の3点を大幅に上回りました。沖縄県立芸術大学…

クバラン族のバナナ糸

クバラン族のイパヤさんの手元。自分で巻いたバナナの糸玉を持つ 2018年10月16日 台湾花蓮県豊浜郷の新社香蕉絲工坊で松田良孝撮影 台湾の先住民族(原住民族)にクバラン族という人たちがいますが、その長老のおひとりがなくなりました。生前、バナナの繊維…

台北地下街って、どんなの場所?

台湾を深く知りたければ・・・ ゲームやアニメ、フィギュアなどを扱うフリマ=2018年7月7日、台北地下街 台湾向けにも積極的に展開する沖縄の商社、新垣通商(本社那覇市、新垣旬子代表取締役社長)が2017年6月にアンテナショップ「日本情報発信館」(E∞JAPA…

翻訳本で沖縄を「自己紹介」(2)

アジア視野に動き出した県産本 県産本ネットワークは台北国際ブックフェアに向けて、あらためて県産本30冊のリストを作成している。たとえば、料理に関する本としてジャンル分けされた4冊(伊是名カエ「okinawa soup」東洋企画、はやかわゆきこ「…

翻訳本で沖縄を「自己紹介」(1)

アジア視野に動き出した県産本 2018年の台北国際ブックフェアに参加した沖縄の県産本関係者ら=2月6日、台北市 okiron.net 那覇市の国際通りに近い第一牧志公設市場の前にある「市場の古本屋 ウララ」という小さな古書店に、外国語の翻訳本を持って台湾から…

「日本」で出合った沖縄

2017年暮れ、芸術を通して台湾向けに日本を紹介するイベント「日本芸術文化展」(台日美術交流会主催)が開かれ、武道と木彫で沖縄関係者が登場する場面がありました。 「日本と台湾」というくくりで開かれるイベントは日本でも台湾でもそれほど珍しくな…

墨田の職人×台湾デザイン

台湾と東京墨田区の町工場がデザインをキーワードにコラボしています。朝日新聞社のニュース週刊誌「アエラ」への寄稿を紹介しながら、取材で出会った墨田区の人たちや、デザインを想起させる台湾の「場」を紹介します。 末尾に動画のおまけがあります。たっ…

台湾で沖縄の「組踊」

沖縄県立芸術大学の公演が台湾の国立台北芸術大学で行われるのは、2016年10月に次いで2度目となりました。「組踊」が披露されるのは今回が初めてとなります。プログラムを通じて、地謡がすべて女性というのは大変珍しいことだそうです。新しい試みを、台湾の…

ヤマネコを守って、そして・・・

台湾にもヤマネコがいると聞き、台湾苗栗県銅鑼郷を訪ねました。「石虎」と呼ばれるベンガルヤマネコの一種です。日本統治期の資料にはタイワンヤマネコとの記述もあるこの猫は、かつては台湾に広く生息していたようですが、今では500頭ほどに減少していると…

一味違うオキナワ

台北地下街にある誠品の展示スペースで、沖縄ブランドのアイテムを見る人たち =2017年8月3日 定番だけでなく 「沖縄」と言われて、ぱっと思い浮かぶ定番のモノがあると思うのですが、それとはちょっと違う「沖縄」を外へ出してみようという試みが目につくよ…

台湾東海岸歩き

ドキュメンタリー映画「台湾萬歳」(2017年、酒井充子監督)。 台湾でも上映してほしいですね。 www.okinawatimes.co.jp 台湾国際バルーンフェスタ=台東県鹿野郷の鹿野高台 旧台東駅を中心とするエリアを再生して整備された台東鉄道芸術村 台東のマスコット…

「ごはん」がつながったり切れたりする 映画『ママ、ごはんまだ?』を観た

料理がストーリーテラー スクリーンに次々に現れる料理の、どれもおいしそうなこと! 嫁ぎ先の台湾でこしらえ方を覚えた豚足を日本でも作りたくて、商店街の肉屋を訪ねる姿は、ストーリーの展開を追いかけているこちらのほうこそが「どうして豚の足を用意し…

沖縄のリ・ブランディング

注目のエリア 市民向けの農園で畑仕事をする人たち 日本でも目にしたことのあるようなアパレル系のロゴがいかにも控えめな感じで掛かっていたり、カフェの中で女性たちが華やいでいながらも、落ち着いた雰囲気を醸し出していたり。こういう場にすっとなじむ…

カトリック教会の結婚式

大谷石が醸し出す独特の雰囲気 ステンドグラス パイプオルガンの演奏を教会の聖堂で聞いたのは初めてのことで、思わず立ち止まってしまった。 宇都宮にあるカトリック松が峰教会を訪れた時のことである。すでに別の記事で書いたが、知らない土地に行ったら、…

山本芳美著「イレズミと日本人」(平凡社新書)を読む

どこでもご飯を食べる人たち 台湾を初めて訪れるという知人とともに台湾の高雄から新幹線を利用した時のこと。ちょうど昼飯時だったこともあり、列車の出発を待つ人たちが食事をする光景が駅構内のあちこちでみられたのだが、知人は「ほんとうに、どこでもご…

中山北路二段の街歩き(地図情報あり)

もともとは、平屋の建物が密集していたのでしょうが、高いビルにどんどん取って代わられ、隣に削られながらも辛うじて残っているところに古着屋。古いものに新たな命を吹き込む所業でもって、なんとか踏ん張ってみようということなのでしょうか。 台北市中山…

オープンちゃんの銅像

「101」のおひざ元 オープンちゃんとモモの銅像(2016年6月28日、台北市信義区のMRT市政府駅近く、松田良孝撮影) こういうものをつい熱心に撮影してしまうことがあります。面白いものを見付けたという意識が、時に過剰になってしまうのです。 2005年7月1…

映画看板講座in台南

夏休みに絵筆を 台南にある映画館「全美戯院」の駐車場。そこにも手書きの看板が。 (2015年12月27日、松田良孝撮影) 手書きの看板を掲げ続けている台南の映画館「全美戯院」のことは、2016年1月11日に紹介したが、その映画館で夏休み期間を使って看板描き…