台湾沖縄透かし彫り

沖縄を歩いていると、台湾のことを感じることがあります。とりわけ、石垣島などの八重山地方では、そのまんまの台湾に出会ってしまうこともあります。では、台湾へ行ったらどうでしょう。やはり、沖縄を感じることがあり、かつて石垣島から移り住んでいった人たちと足跡を見付けることもあります。だけどそれは、薄皮を一枚剥いだようなところに隠れていることがほとんどなのです。

 沖縄を歩いていると、台湾のことを感じることがあります。とりわけ、石垣島などの八重山地方では、そのまんまの台湾に出会ってしまうこともあります。では、台湾へ行ったらどうでしょう。やはり、沖縄を感じることがありますし、石垣島の痕跡を見付けることもあります。だけどそれは、薄皮を一枚剥いだようなところに隠れていることがほとんどなのです。深く掘りすぎると、原形をとどめなくなってしまうかもしれませんね。元の姿をとどめつつ、だけど、内側に潜むものもちゃんと見える。そんな透かし彫りの方法で、台湾と沖縄を見ていきましょう。   松田良孝のページ | Facebookページも宣伝

首里駅のアート

1番ホームの「クリスさん」

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 沖縄都市モノレール首里駅は何度もお世話になっている場所ですが、よくよく考えてみると、二つあるホームのうち、片側のホームばかりを使っていた。それは2番ホーム。2016年4月23日に訪れた時も2番ホームから降りたのですが、1番ホームも使われていたので、行ってみた。見慣れた光景であるはずなのに、ちょっとした違和感を覚えたのは、普段使っていないからというのが理由ではない。そこに全裸の男のアート「クリスさん」が立っていて、2番ホームに止まった2両編成のモノレールを眺めていたからだ。

芸大がコラボ

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 首里駅で行われていたアートイベントの一コマ。第8回沖縄国際映画祭(2016年4月21―24日)沖縄県芸術大学学生有志がコラボしたものらしい。

 1番ホームに立っていた「クリスさん」は彫刻専攻の石川清也さんの作品FRP

 素材の説明には「自毛 シリコン」とある作品もあった。ご自分の毛を使っているということらしい。1番ホームに至る階段の上り口辺りに動物が人のように腰かけてうなだれている「self componet」(彫刻専攻・堀本達矢)

 彫刻専攻の稲嶺春菜さんは「食べる・食べられる」というテーマでステンレススチールを使った「鶏」「蛸」「魚」の3種類。私が気に入ったのは「蛸」なのだが、なぜそこに目が行ったかというと、それがミナミコメツキガニに似ていたからである。

普段は何もないのに

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 普段はほとんど使われない首里駅の1番ホームとそこに続く階段手前のスペースに学生の作品を展示しており、空間の有効活用にもなっている。私は駅に着いたらすぐに用務先へ歩くつもりだったのだが、つい足を止めてしまった。常から何か展示が行われていたら立ち止まらなかったかもしれない。普段何もないはずの場所にいきなり何かが在るということそのものに面白味を感じていたようだ、どうやら私は。