往来が樹を避けて通る
高校生のころ、不承不承ながらも耐えることができた満員電車に対応できなくなり、先日の里帰りでは降りるべき駅で降りられないという失態を演じてしまった。都内をすいすいと歩けるだけの慣れが失われているので、出かけるときには交通手段や経路を念入りに調べるようになった。面倒なことではあるけれども、余裕をもって動こうとするようになったのは悪いことではない。それが奏功して、切ってはならない樹をそのまま残すために道路を二股に分けて整備したという場所を訪れることができた。
世田谷区下馬5丁目にある「葦毛塚」。往来が樹を挟んで左右を通っている。
珍しいなと思いはしたが、考えてみれば、井戸を埋めずにそのままの場所に置いておき、人や車はそれを避けていくということは私が住んでいる島であれば珍しくない。実際、うちから歩いてすぐのところにもある。
道はまっすぐであればよいというわけではなく、何者のためかはともかくとして、道のほうが譲って、遠回りさせるのがいい場合もあるのだ。