2010年にスタートしたURS
2015年4月に迪化街を歩いた時、バロック建築の建物をギャラリーにしたところがあった。新たな文化によって旧来のコミュニティーを再生させようと、台北市が2010年にスタートさせた都市再生前進基地(Urban Regeneration Station、URS)の取り組みである。
台北市側が提供した施設を拠点に、民間の組織が自由な発想で文化や創造の「種」を撒いていく試みで、URSのウエブサイトによると、10カ所のURSが確認できる。
茶をアートに
迪化街には4カ所のURSがあり、筆者が入ったのは蔚龍藝術(Blue Dragon Art Company)という企業が運営するURS127「玩藝工場」である。「127」という数字は、この建物が迪化街一段127號にあるところからきているのであろう。
1階のギャラリーは茶をテーマにした展示が行われており、茶葉やその包み、看板、木箱などを配置し、光と影を使いながら空間を演出している。迪化街が発展するうえで、中国茶の輸出は重要な役割を果たしたわけだから、かつての隆盛をアートという切り口でよみがえらせたことになる。
階段を2階に上がると、そこもギャラリーになっていて、鉄道をテーマにした絵画が展示されていた。
開放的な雰囲気
印象的だったのは、開放的なところである。二階の窓は開けることができ、そこから通りを眺めることができるし、一階の入り口も、奥のほうまでずっと見通せるようになっている。自由な発想が行き交う様子を象徴しているかのようだった。