環境学習がきっかけ
渡り鳥のサシバは台湾でもよく知られ、渡りのルートに含まれる沖縄に関心を持った台湾の小学生たちが来月下旬、石垣島や西表島を訪れることになった。石垣市に住む台湾出身者や小学生との交流を予定しており、サシバの縁をきっかけにした沖縄訪問を前に、子どもたちは日本語の勉強などにも取り組んでいる。
台湾中部・彰化(チャンフア)市の中山(チョンシャン)小学校(王春堎<ワン・チュンレン>校長)の4~6年生16人と教員、保護者合わせて約25人が5月20日から5日間の日程で八重山入りする。
彰化市は市街地近くの八卦(バグア)山(標高98メートル)がサシバの渡りの休憩地のひとつで、同校は八卦山近くにある。児童たちは昨年から八卦山のサシバを調べ、地域の環境について学んできた。
絵本・映画で視野広げる
昨年9月には、絵本「サシバ舞う空」(文・石垣幸代、秋野和子、絵・秋野亥左牟、福音館書店)を取り寄せ、同校保護者で日本語通訳の林瓊施(リン・チョンシ)さんが手助けしながら沖縄とサシバの関係を学習。八重山に多数の台湾出身者が暮らしていることまで調べ上げ、沖縄への旅行先に八重山を選んだ。八重山に住む台湾人を追ったドキュメンタリーフィルム「海の彼方」の黄胤毓(フアン・インユ)監督を同校に招いて話も聞いており、石垣島では同作品に登場する台湾出身者、玉木玉代さん(88)を自宅に訪ねる計画。
歴史に興味、文化交流「してみたい」
頼依婷(ライ・イティン)教諭は「日本との交流を取り入れながら、自然環境と文化について学ぶことが学習のテーマ」と話す。サシバの渡りに適した環境を考える学習から派生する形で、日本本土で里山保護に取り組む地域との交流も目指している。
6年生の陳賛安(チェン・ツァンアン)君(11)は「日本語や日本の歴史に興味がある」、5年生の林芮儀(リン・ルイイ)さん(10)は「文化の交流をしてみたい」とそれぞれ話している。
同校は1897年創立。台湾総督府が彰化の孔子廟に設置した国語伝習所が前身で、台湾で最も古い小学校のひとつ。