新しい環境
石垣島の繁華街、美崎町が酔客で賑わいだすのと反比例するように、金城金物屋は閉店時刻を迎えるので、そこは、夜は夜らしく暗い場所であるはずだっただけに、その跡地にオープンした「石垣島ヴィレッジ」に煌々と明かりが灯っている光景には軽い違和感があった。しかし、人の感覚などというものはすぐに新しい環境に順応してしまうので、そう遠くない時期に、その二階建ての集合店舗があることこそが自然になっていくのだろう。
いくぶんゆったり
オープン間もない2016年3月19日の夜に立ち寄ってみた。ここ4年ほど、美崎町をぶらつく機会が極端に少なくなっているので、客層がどう変わったのかとか、観光客と地元客の割合がどうなのかということは実感としてよく分からないのだが、開放的な空間で酒を飲むというスタイルが石垣島にとって新しいことは確かである。国際通りの屋台村にかかわった人が参画しているという話を聞いているが、あちらに比べると、幾分ゆったりしている感はある。
居酒屋と八重山かまぼこ
その晩は、ほんの偵察程度で立ち寄ったのだが、たまたま台湾系の知り合いが飲みにきていたので、その知人とともに一杯やることになった。そこで話題になったのが八重山のかまぼこ。曰く、「かまぼこは八重山の特産で、みやげに買っていく人は多いけど、石垣島の居酒屋でかまぼこを出す店は意外に少ない」。かまぼこに馴染みがありすぎて、意識したことがなかったが、どうやらそういう側面があるらしい(未検証)。
飲んでいた店は八重山のかまぼこを使っている居酒屋だったという事情もあってこんな話になったわけだが、かまぼこが食える居酒屋を石垣島でちゃんと広めるというのは特産品のおひざ元として当たり前のビジネスプランでもあるようにも思える。
見つけ、組み込む
それまであった商業空間のなかに新しいスタイルを登場させ、根付かせようとするなら、既存のタイプとは異なる何かが必要になる。そのツールとして「かまぼこ」を活かすのもありということになるのだろうか。「既存のタイプと異なる何か」というのは商業というカテゴリーだけに求められるわけではないし、「ツール」はさまざまにある。何を見つけ出し、どう組み込むのかということのなのだろう。
そうか。
松田良孝のページさんの投稿 2016年3月20日