台湾沖縄透かし彫り

沖縄を歩いていると、台湾のことを感じることがあります。とりわけ、石垣島などの八重山地方では、そのまんまの台湾に出会ってしまうこともあります。では、台湾へ行ったらどうでしょう。やはり、沖縄を感じることがあり、かつて石垣島から移り住んでいった人たちと足跡を見付けることもあります。だけどそれは、薄皮を一枚剥いだようなところに隠れていることがほとんどなのです。

 沖縄を歩いていると、台湾のことを感じることがあります。とりわけ、石垣島などの八重山地方では、そのまんまの台湾に出会ってしまうこともあります。では、台湾へ行ったらどうでしょう。やはり、沖縄を感じることがありますし、石垣島の痕跡を見付けることもあります。だけどそれは、薄皮を一枚剥いだようなところに隠れていることがほとんどなのです。深く掘りすぎると、原形をとどめなくなってしまうかもしれませんね。元の姿をとどめつつ、だけど、内側に潜むものもちゃんと見える。そんな透かし彫りの方法で、台湾と沖縄を見ていきましょう。   松田良孝のページ | Facebookページも宣伝

八重山の台湾人と初めて出会ったころのこと

媽祖ってなんだ

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こんな集まりで感謝状をいただきました

(2016年5月31日、石垣市新栄町の中華料理店「金華園」で、松田良孝撮影)

 1993年2月に現在の勤め先で取材・執筆をするようになって1年余りたったころ、石垣島媽祖廟(まそ・びょう)をつくりたいという人と会いました。石垣島に住む台湾出身者と口をきいたとはっきり覚えているのは、このときが最初です。

 廟ってなんだろう?

 媽祖?

 媽祖が航海安全の神で、台湾で広く信仰されているということをのちに私が知ることになるのは、この取材がひとつのきっかけになっています。石垣島で暮らし始めたころ、八重山と台湾がこんなに近いのだということを意識すらしていなかった私は、少しずつ「八重山の台湾」に近づいていったわけですが、その厚かましさを厭うことなく、八重山で暮らす台湾系の人たちは私の取材に応じてくださいました。

もう抜けられない

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(「八重山毎日新聞」2016年6月3日付3面)

 2016年5月31日、琉球華僑総会八重山分会のみなさんから感謝状をいただきました。その様子を取材してくれた私の後輩も記事で触れていますが、八重山に住んでいる台湾系の人たちに出会ったことは、私の生き方を左右するほど影響が大きいものです。このところの私は、台湾にかかわる件にどっぷりと浸かってきた感がありますが、これはもう仕事だからとか、台湾が好きだからとかいう域を超えていて、ここまできたら抜けられないとでも言いたくなるような状況になっています。

 近々、私はこれまでの生活の一つの区切りを付けるつもりでいますが、その次のステップでは今まで以上に深く台湾とかかわっていくつもりです。八重山に住む台湾系の人たちにもこれまで以上にお世話にあることは必定で、いずれはこちらから感謝状をお渡ししなければならない時が来るかもしれません。

 

石垣島で台湾を歩く―もうひとつの沖縄ガイド

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