台湾沖縄透かし彫り

沖縄を歩いていると、台湾のことを感じることがあります。とりわけ、石垣島などの八重山地方では、そのまんまの台湾に出会ってしまうこともあります。では、台湾へ行ったらどうでしょう。やはり、沖縄を感じることがあり、かつて石垣島から移り住んでいった人たちと足跡を見付けることもあります。だけどそれは、薄皮を一枚剥いだようなところに隠れていることがほとんどなのです。

 沖縄を歩いていると、台湾のことを感じることがあります。とりわけ、石垣島などの八重山地方では、そのまんまの台湾に出会ってしまうこともあります。では、台湾へ行ったらどうでしょう。やはり、沖縄を感じることがありますし、石垣島の痕跡を見付けることもあります。だけどそれは、薄皮を一枚剥いだようなところに隠れていることがほとんどなのです。深く掘りすぎると、原形をとどめなくなってしまうかもしれませんね。元の姿をとどめつつ、だけど、内側に潜むものもちゃんと見える。そんな透かし彫りの方法で、台湾と沖縄を見ていきましょう。   松田良孝のページ | Facebookページも宣伝

台湾

映画看板講座in台南

夏休みに絵筆を 台南にある映画館「全美戯院」の駐車場。そこにも手書きの看板が。 (2015年12月27日、松田良孝撮影) 手書きの看板を掲げ続けている台南の映画館「全美戯院」のことは、2016年1月11日に紹介したが、その映画館で夏休み期間を使って看板描き…

パインをめぐる八重山と台湾のつながり

八重山に住む台湾人を取り上げたドキュメンタリーフィルム「海的彼端」のウエブにコラムを執筆しました。パインをめぐる八重山と台湾のつながりがテーマです。 日本語の原文をご紹介します。 <八重山のパインアップルは台湾から> 家庭でも職場でも 陽気が…

小さな湾、急峻な島―固有名詞軽視(?)の台湾地図

沖縄県公文書館で開かれている所蔵資料展「地図と絵図」 2016年6月17日、松田良孝撮影 沖縄県公文書館を訪ねたところ、「地図と絵図」というタイトルで所蔵資料展をやっていた。沖縄県公文書館が所蔵する地図で沖縄の描かれ方を表現しており、小生は台湾と沖…

旧総督府前で集合写真

時事通信が配信 台湾総統府庁舎前で記念撮影する八重山台湾ツアーの参加者 (台北市、2016年6月5日、九州経済調査協会提供) 2016年5月30日の記事で決意表明しておいた通り、八重山と台湾とを結ぶツアーで台湾総統府に立ち寄った。 taiwanokinawa.hatenablog…

西表炭坑に台湾人の足跡を訪ねる

リユースの弁当箱 カヌーに乗る前に黒紫米のおにぎりなどで腹ごしらえ (2016年6月3日、竹富町西表島の浦内川観光、松田良孝撮影) 西表島西部の浦内川河口付近からカヌーに乗り込み、支流の宇多良(うたら)川へ向かう前、カヌーステーションで腹ごしらえ。…

八重山の台湾人と初めて出会ったころのこと

媽祖ってなんだ こんな集まりで感謝状をいただきました (2016年5月31日、石垣市新栄町の中華料理店「金華園」で、松田良孝撮影) 1993年2月に現在の勤め先で取材・執筆をするようになって1年余りたったころ、石垣島に媽祖廟(まそ・びょう)をつくりたいと…

時間と空間を超える旅(動画あり)

嵩本安意さんの体験をたどる (2016年6月2日、石垣市字新川の自宅で、松田良孝撮影) 八重山と台湾を結ぶツアーが2016年6月2日から6日まで行われ、参加者10人が竹富島で1泊、西表島で1泊、台北で2泊するツアーを楽しみました。 初日の6月2日には、植民地台湾…

八重山と水牛

八重山に住む台湾人を取り上げたドキュメンタリーフィルム「海的彼端」の公式サイトにエッセーを書きました。原文(日本語)は後段に貼ってあります。 水牛車で知られる竹富島には2016年6月2日に行ってきたばかり。もちろん、水牛車にも乗りました。水牛=八…

八重山の台湾人が自らについて語るということ

漂流の歴史 米寿の祝いで、曾孫から花を受け取る玉木玉代さん (2015年3月28日、石垣市八島町の「北京飯店」、松田良孝写す) 八重山に暮らす台湾人の長老、玉木玉代さんの米寿のお祝いが2015年3月28日に石垣島で開かれた。玉木さん一家を追った台湾のドキュ…

新宿御苑の台湾閣

設計は台湾総督府の森山松之助 新宿御苑の台湾閣(旧御涼亭、2016年5月22日) 新宿御苑(2016年5月22日) 新宿御苑に台湾閣という建物があると知り、里帰りのついでに足を運んだ。八重山・沖縄と台湾の関係を調べているうちに、こんなところまで来てしまった…

八重山・台湾の新しい風景

6月2日、ツアー開始 石垣島や竹富島と台湾の台北などを八重山台湾ツアーが2016年6月2日に石垣島からスタートするのを前に、ツアーでお世話になる島本哲男さんのマンゴー農園にお邪魔しました。1カ月前に訪れた時にはせいぜい親指の先ぐらいしかなかったマン…

「沖縄籍証明書」を寄贈

幸せ・誇り・名誉 石垣英和さんについて語る妻の良さん(2016年5月17日、石垣市字石垣の自宅で) 2016年1月18日に亡くなった石垣英和さん(享年86)の妻、良さん(82)と話していると、「ミョウガ」という言葉がたびたび出てきます。どう訳したらいいのだろ…

ナッチャン・レラが花蓮から石垣へ

カギは農産物か 石垣港に到着した「ナッチャン・レラ」(2016年5月14日夕) 高速フェリー「ナッチャン・レナ」(1万0712トン、台湾名・麗娜輪)が2016年5月14日夕、台湾の花蓮港から石垣港に到着し、百人規模の訪問団が石垣入りした。ことしは10回程度のチャ…

中国語の「ひらがな」を学ぶ

「注音符号」 台湾で使われている発音記号「注音符号」を勉強するチャンスがあった。注音符号は中国語のひらがなのようなもので、漢字の読みを示した記号。台湾へ行くたびに「これが分かれば、もっと台湾が楽しくなるはず」と思っていながら、勉強をサボって…

港をじっくりと

漁船もクルーズ船も 新しいレンズが届いたその日、試し撮りはクルーズ船が入る日に港でと決めていた。離島との間を結ぶ高速船も、漁船も、とにかく船が盛んに行き来する光景はいいものだ。外回りの時間が減ったからということではなく、港に来てじっくりとフ…

カツオ漁とかつお節 目井津から久部良に渡った二人の「貞」(2)位置情報あり

相前後して与那国へ taiwanokinawa.hatenablog.com 「キング賞」をめぐって取り違えのあった迫田貞熊(さこた・さだくま)と発田貞彦(ほった・さだひこ)。 二人の履歴を確認しておこう。 <迫田貞熊> 出身地:鹿児島県トカラ列島の平島 生没年:1892―1945…

カツオ漁とかつお節 目井津から久部良に渡った二人の「貞」(1)位置情報あり

キング賞の迫田貞熊 講談社が発行していた大衆娯楽雑誌「キング」の編集部が贈る「キング賞」というものがあり、1931年には与那国島の迫田貞熊(さこた・さだくま)が受賞者の一人に選ばれている。与那国島で戦前の漁業のことを取材していると、「キング賞」…

スマホの使い過ぎに頭が下がる

「低姿勢」のようだが・・・ きょうの中国語教室で「抬頭」という言葉を習った。ミスった時などに「我不敢抬起頭來」(恥ずかしくて、頭を上げられん)といった感じで使うもので、これは教科書通り。 続いて、老師が尋ねて曰く、「では『低頭族』という言葉…

安里の土帝君

同じ場所を二度三度と 旅は、同じ場所を二度三度と訪ねるのが醍醐味だと思っている。「なんども同じ場所に行って、飽きないのか?」と言われることもある。確かに。同じ土地を訪ね、同じような場所を歩いて帰ってきてしまうことがないではない。ただ、こうい…

台湾移民1世を偲ぶ

浅野静江さんが一周忌 旧1月16日の旧十六日祭(ジュウルクニチィ)のときにお邪魔した(押しかけた?)石垣島嵩田の浅野さん宅にまたおうかがいした。2015年4月10日に亡くなった台湾・員林ご出身の浅野静江さんの一周忌に、ご遺族がお集まりだとうかがっての…

出発点の寺

熊本地震で震度6弱 JRで熊本駅から10分かからないところに川尻という場所があり、私は2005年2月24日に足を運んでいる。延寿寺という天台宗のお寺が目的地である。この年は戦後60年の節目に当たり、私は終戦の年の1945年に生まれた人たちの取材をしていて、…

次に生まれてくるときは・・・

マンゴーの枝釣り 葉は青々としているのに、つぼみが房状に連なったところは黄色から赤へと、まるで紅葉しているように色付いている。マンゴーの花が咲き、早いものでは小豆ほどの実がぷっくりとしはじめていた。 彰化県員林出身の台湾系2世、島本哲男さん…

ススキのほうき(続報)

縁があれば ススキを束ねたほうきが珍しくて、2月に取り上げたのだが、きょう(2016年4月9日)、別のお宅でほとんど同じ形をしたほうきにお目にかかった。 どちらも、石垣島嵩田地区にある台湾系の方のお宅で、といって、これが台湾由来のものだというつも…

台湾風(?)の家

玄関?たたずまい? この建物は、台湾の彰化県員林から来た人が建てたものです。台湾風のおうちというふうに説明を受けたことがありますが、階段とスロープを組み合わせたような玄関がそうなのか、それとも、たたずまいそのものが台湾風なのか。 古いことも…

石垣島に住む台湾系の人たちの清明

恒例行事 石垣島に住む台湾系の人たちがそろって墓参を行う清明節の恒例行事が2016年4月3日、石垣市字石垣にある台湾同郷之公墓で行われました。台湾系の人がすべて参加するというわけではありませんが、それでも100人を超える人たちが集まり、独特の細長い…

与那国と台湾 本当は108キロ?

≠111キロ 与那国島と台湾の宜蘭県蘇澳鎮の距離は111キロで、これが日本と台湾の最短距離だと思っていたのだが、与那国の西崎灯台と蘇澳の蘇澳燈塔(灯台)について、それぞれ日本の海上保安庁と台湾の交通部航港局が公開している位置情報を手掛かりに、日本…

ラジオと与那国台湾帰属論

仲嵩嘉尚 2016年3月30日に沖縄県立博物館・美術館で「人びとの記憶と記録に残るラジオ放送」というシンポジウムがあり、三島わかなという県立芸術大学の人が沖縄のラジオ放送について発表していた。冒頭のクイズで、沖縄で最初にラジオ受信機が設置された(…

現場と肉声

検索サイトが充実 Retweeted Toru Shigehara (@sght):旧外地官庁資料の調べ方:朝鮮・台湾・関東州 | 調べ方案内 | 国立国会図書館https://t.co/U161AxA0S4 日本近代史関連情報さんの投稿 2016年3月30日 実際、台湾のことを調べるために、住まいから、あるい…

「激辛!!台湾汁なしラーメン」

飲むのに一苦労 ビールのメガジョッキというのをみんなで頼んでみた。1リットルで950円。「普通のジョッキより安い」というのは、この店によく来る者の談だが、どうなんだろうか。メガジョッキというものがどこにでもあるのかどうかがまず分からない。 ビー…

その土地の人になるということ

三世 英国に留学していたことのある同僚としゃべっていて、欧州にやってくる移民の話になった。曰く・・・ 一世は自分たちの国の文化や伝統を守ろうとする。 二世は、一世の苦労を見ているし、一世(=親たち)からの期待が過大なほど強い。だから、自分の出…